あかとくろとあさぎ

2021年10月公開映画『燃えよ剣』を楽しんでいる山田担のブログ

『ワイルドバンチ』感想

原田監督が『燃えよ剣』関連で名前を上げていらした作品を見てみよう!第二弾です。

 

 

「最後の西部劇映画」と言われているそうなのですが、一度道を踏み外した男が友情によって再起し勝利する『リオ・ブラボー』とは真逆で、滅びゆく者たちの最後のきらめきを捉えたような作品でした。

主人公一味は強盗団で、物語は彼らの計画が失敗するところから始まります。

強盗団のリーダー、パイクの旧友ソーントンは、今では鉄道会社に雇われてパイクと敵対していて、最後まで和解することはありませんし、強盗団の仲間たちは次々と非業の死を遂げていきます。かつての夢も友情も失い、落ちるところまで落ちていくパイクたちの姿はあまりにも物悲しく、時代の流れに取り残された男たちの「滅びの美学」を描いた作品という言葉が確かに相応しいなと思いました。

最後に少しだけ救いが残るので、視聴後感は意外と爽やかなんですが。

新撰組の辿った道筋を考えると、『燃えよ剣』の大筋はどちらかというとこちらに近いかもですね。

 

リオ・ブラボー』では人が銃殺されるシーンでも血のりがほとんど写っていなくて、日本で言うかつての時代劇映画のようだなあと思いながら見ていたのですが、『ワイルドバンチ』は結構残虐なシーンも多くて、いわゆる西部劇映画が求められなくなってきた時代に作られたものというのがなんとなく伝わってきました。

この二作、作られた時代がちょうど10年離れているんですね…。『リオ・ブラボー』から先に見たのはたまたまだったんですが、この順番で見て正解だったかもと思いました。

 

そして『ワイルドバンチ』が作られたのは、時代的にはアメリカン・ニューシネマの頃のようで。

アメリカン・ニューシネマは一応数作見たことがあるんですが、刹那的で虚無的な作風がなんとなく好きだなあと思いました。『真夜中のシャドーボーイ』の元ネタでもある『真夜中のカーボーイ』とか…!なんでもJUMPにこじつけてすみません。

新撰組の面々の生き様は、この時代の映画に共通するものがあるように思うので、映画『燃えよ剣』にそのエッセンスがどう取り入れられるのか楽しみです。

名作西部劇映画で描かれた男たちの爽やかな連帯と、時代の変革期に作られた映画の「滅びの美学」、その両方を受け継いだ時代劇映画がどんなものになるのか、想像するだけでワクワクします。

 

あと『ワイルドバンチ』、Wikipediaを見てみたら黒澤明監督の『七人の侍』『椿三十郎』を意識して作られたんだそうで…原田監督も黒澤監督へのリスペクトを語っていらっしゃいましたし、これらの作品も見ておきたいですね!元々いつか見たいとは思っていたので…